1. なぜ今、サンクスカード導入が増えているのか
導入が増えている背景
サンクスカードの導入が増えている背景には、組織環境の変化があります。
リモートワークの浸透により、雑談やちょっとした声かけが減り、成果は見えても支え合いは見えにくくなりました。あわせて、離職率やエンゲージメント低下への危機感が高まり、「日常の感謝や称賛」が組織に与える影響に注目が集まっています。
また、心理的安全性という概念が広がったことも後押ししています。安心して発言できる環境は制度だけで整うものではなく、日々の感謝や称賛の積み重ねが重要だと捉えられるようになってきました。
(参考:「効果的なチームとは何か」を知る)
一方で、それが日常の中で十分に行き交っているかというと、十分に根づいている実感を持てていない企業も少なくありません。こうした見えにくさに向き合う取り組みとして、サンクスカードの導入が広がっています。
サンクスカード導入後に期待される変化
では、実際にサンクスカードを導入すると、どのような変化が期待できるのでしょうか。
まず、日常業務で見えにくいやりとりを共有する機会が生まれることで、組織内でのコミュニケーションの活発化が期待できます。
さらに、業務の成果だけでなく、過程や関わり合いに目が向きやすくなるため、組織内の役割や関係性への理解が進み、日々の協力や声掛けも生まれやすくなっていきます。
こうした取り組みは、社内の雰囲気改善やエンゲージメント向上の一環として位置づけられ、離職防止や組織活性化を背景に導入が広がっています。
ただし、同じサンクスカードであっても、設計や使い方によって得られる効果は変わります。導入そのものをゴールにするのではなく、「なぜ使うのか」という意図を明確にすることが欠かせません。
2. サンクスカードにおける2つの活用方法
サンクスカードには、ツールごとにさまざまな特徴やつよみがあります。一見すると似ているように見えても、使い方によって、目指す成果が大きく異なります。
活用方法は、大きく2つの方向性に分かれます。
| 活用方法 |
感謝・称賛を可視化 |
ポイント・報酬と連動 |
| 主なねらい |
日常の感謝やねぎらいを共有し、関係性や文化を育てる |
組織として推奨する行動を増やす |
| 重視する価値 |
やり取りの背景や意味が伝わること |
行動基準を明確にし、実践を促す |
| 効果が出やすい場面 |
心理的安全性を高めたい/雰囲気を改善したいとき |
短期間で利用率を高めたい/導入初期に動きを作りたい |
| つよみ |
貢献や支え合いが自然に可視化される |
インセンティブにより参加のハードルが下がる |
| 運用上の課題 |
積み上げを継続する設計が必要 |
報酬目的になりがちで文化づくりの系が薄れる可能性がある |
| 設計時の留意点 |
定期的にやりとりを振り返る仕組みを用意する |
目的や意図を共有し、定着させるための動機づけを行う |
感謝や称賛を可視化するために使う
ひとつは、日常の感謝やねぎらいを組織内で共有することを重視した活用方法です。
サンクスカードを送る枚数を増やすことよりも、誰がどのような場面で支えあったのか、どのような関係性が生まれているのか、といった具体的なやりとりを言葉として蓄積していくことに価値を置きます。
日常業務では見えにくい貢献や関わり合いが可視化されることで、コミュニケーションの活性化や心理的安全性の向上につながることが期待されます。
ポイントや報酬と連動させて使う
もうひとつは、ポイント制度や報酬と組み合わせながら運用する活用方法です。カードのやり取りにインセンティブを設けることで、組織として推奨したい行動が起こりやすい状態をつくります。
推奨する行動や価値観と結びつけて設計することで、取り組みを始めた段階から動きが生まれやすくなります。短期間で行動量を増やしたい場合や、まずは利用のきっかけを広げたい場合に効果的な方法です。
一方で、報酬が前提になることで、やりとりが評価やポイント獲得のための行動と受け取られる可能性もあります。制度として定着させるには、なぜその行動を推奨するのかという目的や意図を丁寧に共有していくことが重要になります。
このように、目的に合わせた活用方法を理解しないまま導入すると、あとから「思っていた使い方と違った」と感じることも少なくありません。
どちらが優れているという話ではなく、自社は何を実現したいのかを整理することが重要になります。
3. 目的で選ぶ:サンクスカード活用の5つのパターン
前の章で整理したように、サンクスカードには大きく2つの活用方法があります。
そのうえで大切になるのが、「自社は何を目的に導入するのか」という視点です。
目的が定まらないままツールを選ぶと、定着しない、形骸化する、といったミスマッチが起きやすくなります。
企業がサンクスカードを導入する目的は、大きく5つの目的に整理できます。どこに自社が当てはまるのかを明確にすることで、比較の軸が見えてきます。
| 目的 |
おすすめのツール |
特徴 |
注意点 |
| まずは手軽に始めたい |
Teams / Slackでの運用 |
低コスト・すぐ始められる |
やりとりが流れてしまう、関係性が見えない |
| 形骸化を防ぎたい |
GRATICA ThanksCard |
やりとりが記録として残り、振り返りや共有がしやすい |
目的設計が曖昧だとイベント化しやすい |
| 組織として推奨する行動を増やしたい |
GRATICA OH!KIMOCHI HeyTaco
Sushi Bonus |
インセンティブ設計により参加のきっかけをつくり、行動量を高めやすい/td>
| 報酬目的の投稿になりやすく、文化としての定着には工夫が必要 |
| 関係性を可視化したい |
GRATICA ThanksCard |
感謝や称賛を記録として積み上げる |
即効性より継続性重視する必要がある |
| 経営指標として活用したい |
THANKS GIFT Unipos
RECOG |
ポイントや投稿データを分析し、サーベイや制度と連動させやすい |
価格・運用負荷が高いため慎重な検討が必要 |
目的1:文化づくりの入口として使う
「まずは感謝や称賛を送り合う文化をつくりたい」「職場の雰囲気を少しでも変えたい」といった目的であれば、手軽に始められる方法として、Teamsの称賛機能やSlack上で感謝を送り合う運用からスタートする企業も多く見られます。
この段階で重要なのは、完璧な設計よりも始めることです。日常の中に「ありがとう」が増えるきっかけをつくる。それだけでも一定の意味があります。
一方で、継続や広がりという点では次のような課題が見えてきます。
やり取りが流れてしまう、偏りが見えない、集計が手間になるため表彰制度などに結びつけにくい、といった点です。
チェックポイント
目的2:形骸化を防ぎ、定着させる
次に出てくる課題が、「続かない」という壁です。最初は盛り上がるものの、次第に投稿が減り、特定の人しか使わなくなる。
これは、やりとりが積み上がらず、全体の動きが把握しづらくなることで、自然と参加が限られてしまうことに原因である場合も少なくありません。
この課題を解決するには、「やりとりが蓄積されること」「誰がどんな行動をしているのかが見えること」「担当者に依存しないこと」といった設計が重要になります。
専用のサンクスカードツールが検討されるのは、この段階からです。
チェックポイント
目的3:行動を促進する仕組みにする
サンクスカードを「行動促進の仕組み」として活用するケースもあります。
例えば、自発的な発信を増やしたい、挑戦行動を増やしたい、企業理念に沿った行動を強化したい、といった目的の場合、ポイント制度など報酬と組み合わせた設計が有効です。
一方で、報酬が主目的になると、感謝の温度が形式化しやすいという側面もあります。何を促進したいのか、が明確であることが前提になります。
チェックポイント
目的4:関係性を可視化し、積み上げる
関係性を可視化することは、行動量を増やすことよりも、「誰が誰をどう支えているのか」を見えるようにすることを目的とします。評価や報酬に直結させるのではなく、感謝・称賛・承認を、関係性の記録として残すのです。
この目的においては、「見えない貢献の可視化」「心理的安全性の土台づくり」「組織の記憶を積み上げること」が重視されます。
デジタルサンクスカード「GRATICA」は、感情の可視化に向き合い、記録として積み上げる設計を強みとしています。
チェックポイント
サンクスカードツール「GRATICA」のつよみ
1500枚以上のデザインから選べ、送信履歴や反応を可視化。迅速な感謝の伝達が可能です。
GRATICAは、感謝・称賛・承認のやり取りを「関係性の記録」として積み上げていく
ことを重視したサンクスカードツールです。
背景にあるのは、「ありがとう」という言葉を、誰かの行動に対する贈り物として捉える考え方です。
「誰がどの場面で、誰に言葉を届けたのか」を可視化することで、人と人との関わりが見えてきます。
また、使うこと自体が義務にならないよう、豊富なカードデザインや直感的な操作性など、「楽しく使う」ことが設計の土台にあります。日常の中で使われ続けることを意識している点が、GRATICAの特徴です。
目的5:経営管理と連動させる
サンクスカードの活用が進むと、サンクスカードを単体で使うのではなく、サーベイや人事データ、評価制度、分析と統合し、経営指標として活用するフェーズに入ることができます。
この段階では、ログを分析し、エンゲージメントとの相関を見る、といった高度な活用も可能になります。
ただし、これは組織の基盤が整っていることが前提です。土台がない状態で統合に進むと、数値は見えても文化が伴わない、という状況が起きやすくなりますので注意が必要です。
チェックポイント
このように、サンクスカードは「どれが優れているか」ではなく、自社がどの目的にいるかによって選ぶべきツールが変わります。
4. まとめ
サンクスカードは、組織の中でどのような関わりを増やしたいのか、何を変えていきたいのかを形にするための仕組みです。
ツールごとに特徴やつよみによって活用方法は異なります。そのため、自社がいまどの段階にあり、何を目的に導入するのかを整理することが大切です。価格や機能だけで判断するのではなく、活用の方向性が自社の課題と合っているかという視点を持つことが、定着と継続につながります。
サンクスカードは導入して終わる施策ではなく、運用を通じて組織に根づいていくものです。目的を明確にした上での選択が、効果的な活用への第一歩となります。